母たちと息子たち;アイルランドの光と影を生きる コルム・トビーン/伊藤範子訳 四六判上製 302頁 2400円+税 ISBN 9784875344490
■厳選された美しい言葉から心の内奥へと踏みこむ 珠玉精緻の作品群から トビ―ンの文学世界へ――。トビーンの作品を理解するためには、アイルランドが新しいコンセプトで二〇世紀に飛びこむ時代であり、それまでの家父長制とカトリシズムの抑圧などの古いしがらみから脱しようとするときと重なり、人物たちの生き方、考え方が模索されると同時に、それまで陰に隠れていた問題が暴露される新時代であることは覚えておかねばならないだろう。
カント実践哲学と応用倫理学――カント思想のアクチュアル化のために
高田 純 著 A5判上製 328頁 3200円+税 9784875344506
目次■カント哲学の応用倫理的射程/人間観と応用倫理学/人格の構成要素としての生命と身体/自然への依存と自然からの独立/自由と権利の根拠づけ/人民主権と世界平和の理念/所有と公共性/カントの教育論と人間観 内容紹介●実践的原理の生活世界への応用について、カントの思想を広く考察しその現代的意義を示するとともに、カント実践哲学のアクチュアル化のためにはこれまでなされてきた図式的な解釈枠を更新する必要があるとの問題意識に立って、いくつかの基本点についてこれまでの有力な解釈とは異なる解釈を提案する。
交差する眼差し;ラテンアメリカの多様な世界と日本 浅香幸枝編 A5判上製 304頁 2800円+税 ISBN 9784875343950
■ラテンアメリカ地域の大きな特徴は様々な民族からなる文化の多様性である。そこには、グローバルに生起し世界が直面する課題を現代世界の縮図として浮かび上がらせ、山積する課題の解決へ向けての処方箋を先駆的に示唆するものがある。本書の特色と意義はまた、ラテンアメリカの実像を多面的に明らかにするとともに、日本との関係も視野に、研究者それぞれが多角的複眼的な視座と方法を持ち寄り「交差する眼差し」として結実させたところにある。
「1968年」再訪;「時代の転換期」の解剖 藤本博編 A5判上製 328頁 3000円+税 ISBN 9784875343943
■「1968年」を中心に1960年代から1970年代初頭の広範な政治・社会運動は、既成の価値観への挑戦やライフスタイルの変容など、文化的な側面にまで影響が及んだという点でも、大きな歴史的意義を持つものであった。
移民の町サンパウロの子どもたち ドラウジオ・ヴァレーラ/伊藤秋仁監訳 フェリッペ・モッタ監修 A5判上製 200頁 2000円+税 ISBN 9784875343929
■ブラジルの著名な医師であり作家でもある著者の少年時代の回想記。サンパウロで暮らす移民とその子どもたちの生活の様子を生き生きと描く。ブラジルを理解し、より身近に感じることができるコラムも収録する。(図書館流通センターによる紹介)
■ブラジルは、混血が進んだ国である。多くの人種が混じり合い人種の概念がなくなってしまう。混じり合うことで他者を人種ではなく個人として認め、自らも曖昧になることで異なる人種や文化の垣根を容易に乗り越えていく。曖昧であるがゆえにおおらかな社会、混沌に見えるかもしれないがゆるやかな秩序が存在する。そうして前進する社会。まさに我々が目指す社会の未来像かもしれない。
ことばを教える・ことばを学ぶ;複言語・複文化・ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)と言語教育 泉水浩隆編 A5判上製 352頁 3000円+税 ISBN 9784875343905
■近年注目を集めている「ヨーロッパ言語共通参照枠」(CEFR)について、スペイン語・フランス語・ドイツ語を中心に、欧州におけるその現状と今後、日本におけるその受容・現状・今後を、言語学的・言語教育的・社会言語学的視点から分析・考察する。
法の原理 自然法と政治的な法の原理 トマス・ホッブズ/高野清弘訳 A5判上製 352頁 3600円 ISBN9784875343844
■ホッブズの思想は、ロックやルソーはもとより、20世紀を経てシュミット、アレント、シュトラウス、最近ではネグリ=ハートの『〈帝国〉』や、アメリカの新保守主義の思想的基盤になるなど、その影響力の射程は甚大。本書はリヴァイアサンに比べるとコンパクトで読みやすく、その後のホッブズ思想の全てが萌芽的に詰まっているため、ホッブズ入門としても最適である。
現代に生きるフィヒテ フィヒテ実践哲学研究
高田 純 A5判上製 328頁 3300円+税 ISBN97848 75343875
■フィヒテの実践哲学(法論、国家論、経済論、道徳論、教育論など)の生れくる過程とその理論構造を彼の時代の激動のなかで考察し、その現実的意味を浮き彫りにするとともに、彼がその時代において格闘した諸問題、それらの少なくない部分は今もなお未解決であり、彼の投げかけた問題は、今こそその輝きを増している。
宗教と政治のインターフェイス 現代政教関係の諸相 丸岡高弘・奥山倫明編 A5判上製 288頁 2600円+税 ISBN 9784875343882
■近年、世界の様々な地域で宗教が政治的課題となる事態が頻繁に発生しており、その形も多様である。本書は、こうした宗教の公共空間への再登場という今日的現象を、ヨーロッパ、南北アメリカ、アジアなどの地域ごとに、その歴史的展開も含めて比較検討することを目的としている。
マンガでわかる男性学 ジェンダーレス時代を生きるために 水島新太郎 四六判 280頁 1500円+税 ISBN 9784875343837
■男らしさ・自分らしさ、マザコン、女嫌い、同性愛嫌悪、男同士の絆、男のコンプレックス、独身、包茎、童貞、男女の関係、男たちのこれから、など、男たちの経験談をもとに、男にまつわる様々な問題をマンガ8作品でひも解く。
高野清弘・土佐和生・西山隆行編 A5判上製 356頁 3000円+税 ISBN 9784875343851
■複数領域を横断する学際的な視点から、19世紀から20世紀にかけてのヨーロッパにおける科学ならびに技術の発達を明かにし、それが同時代の文学作品・芸術作品にいかに反映されているかを解明する。また、従来のアカデミックな文化史研究では軽視されがちだった領域に注目することで、文化をただ文化として研究するのではなく、一つの時代を支配する知の制度の一環として包括的に理解しようと試みる。
梓 加衣 著
四六判208頁1800円
9784881704080
*これは、原爆を落とされ想像を絶する被害を受けた広島の街で、親も家もなくし、飢えや悲しみ、さびしさのなかで心も体も傷ついた子どもたちの物語である。
*「浮浪児狩り」と称してまるで野良犬のように邪魔な存在と考える人もいたりするなかで、どんな苦しみにも精一杯生き続けた子どもたちの姿を描く。
*子どもたち同士で支え合い助け合うその心の豊かさや一所懸命な姿が、やがて多くの大人たちの心を動かし、被災し荒廃した街に「孤児院」を作らせる。...
*この物語はまた「現代の子どもにまで続く物語」と読むこともできるだろう。
中由美子編訳
A5判208頁2000円
9784881704073
■中国と日本と、子どものころにおたがいのことを知りわかりあっていれば、大人になっても仲よくしていけるのではないかと思うが、ほんとうに仲よくなるためには、日本がしかけた戦争で、中国の人たちがどんな目にあったのかも知っておかなければならないだろう。
日本の軍隊に占領されていた内モンゴルの商都が舞台の表題作のほか、戦争を背景にした中国の児童文学の中から、特に日本とのかかわりの深い8編を収録する。
百歳物語 絶望の大地に咲く花
畑 裕子 四六判上製208頁1600円+税9784881704196
■東日本大震災を機に、満州引き揚げの記憶を語りだす祖母…。児童養護施設に勤める孫娘と、親なしで育った祖母が東北を旅し、絶望の中でつつましく優しく生き抜いた人生をたどりながら、その思いをつないでゆく。
それは、戦前、戦中、戦後、生きることを選び、ただひたすら働き続けた祖母が、闇の中から光を見出そうとする生き様だった。
大嶽 洋子 (著)
四六判224頁 1900円 9784881704158
■著者の視点は、世に多く存在する与謝野晶子のイメージとは異なっており、晶子の膨大な作品群を蚕のごとくむさぼりつつ、「強靭で自立した精神を持つ女性像」と「その透徹した詩魂の美しさ」を紡ぎだすことに成功しています。「それからの晶子」とは「みだれ髪」から二十余年、烈しい夏の季節のあと、静かで内省的な叙情の季節へとゆるやかな沈静をたどり、自分の歌の真の詩人性と個性を確信したころからの晶子を言う。
健康はあなたが摂るもので決まる 生命力の高め方
長谷山 俊郎 (著)
四六判304頁1200円9784881704165
■日本は世界一の長寿国となったものの、多くの人が病んでいる。本書では、対症療法ではなく原因療法の立場に立って、生命とは何なのか、健康のためには何をどのように摂ればいいか、食、水、空気の摂り方などについて考える。
絵本であそぼう、このゆびとまれ! 乳幼児からの集団での絵本の読み語り
梓加依(著) 中村康子(著)小さな乳幼児の集団に対して、どのような絵本を、どのように読み聞かせたらよいのか。子育て支援のグループとして絵本の読み語りを中心に活動してきた著者が、絵本の選び方やプログラムの作り方などを紹介する。
南米につながる子どもたちと教育 複数文化を「力」に変えていくために 牛田千鶴(編) A5判 264頁 2600円+税9784875343004
■日本で暮らす南米からの移民の子どもたちに注目し、その子らを取り巻く教育の課題を明らかにするとともに、彼らの母語や母文化が生かされる教育環境とはいかなるものかを探る。また、そうした複数文化を生きるということが、本人はもとより日本の地域社会の今後を考える上でも有益であるとの視座に立って、より幅広い読者をも想定する内容となっている。
たのしむ万葉のひと、うた、こころ
大嶽 洋子(著)
四六判232頁1900円
9784881703236
■あの磐姫が額田王が持統が、あの高市の皇子が、大津の、志貴の皇子たちが、あの家持が赤人が人麻呂が、あなたの掌に飛び込んでくる!
「政治哲学」のために 飯島昇蔵、中金聡、太田義器(編)
A5判390頁3500円
■エロスと智恵/レオ・シュトラウスとアルキビアデス問題/マキァヴェッリと近代政治哲学/『哲学者マキァヴェッリについて』という邦訳書のタイトルの選択について/知恵と節度/プーフェンドルフの自然法について/スピノザにおける神政国家と民主政の関係/法権利の哲学と神学‐政治問題/レオ・シュトラウスにおける「神の問題」/レオ・シュトラウスにとっての「クルト・リーツラー」という問題/ソクラテスとソフィストの区別について
セルバンテス模範小説集 コルネリア夫人・二人の乙女・イギリスのスペイン娘・寛大な恋人
セルバンテス/樋口正義(訳・解説)
A5判 212頁 2,600円 ISBN9784875344414
■本書の4篇をもって『模範小説集』全12編の全邦語訳が出そろった。
小品ながら珠玉の輝きをはなつ佳品3篇、また、「寛大な恋人」は、当時の地中海世界を舞台に繰りひろげられた、キリスト教徒とイスラム教徒をまきこんだ恋と冒険の物語で、堂々たる中編小説になっている。
地球時代の「ソフトパワー」 内発力と平和のための知恵
浅香幸枝編 A5判368頁2800円 9784875344407
■ソフト・パワーからソフトなパワーへ/ソフトパワーとしての子どもの本/ソフトパワーとしての和学/人間の安全保障と日本のODA/アジア・太平洋自由貿易圏の構築とTPP/日本の環境外交とソフトな安全保障/ソフトパワーとしてのヨーロッパの安全保障政策/スペイン語圏と日本を文化で結ぶ/ポルトガル語諸国共同体の可能性と限界/台頭する新興国ブラジルとの新たな関係/ペルーでの考古学調査/日本におけるアルゼンチン・タンゴの受容/二つの祖国を結ぶ日系という生き方/ソフトパワーとしてのCIATE/ニューメディアとソフトパワー・コミュニケーション/イスカバーニャス・イスキエルド/ソフトパワーと平和構築
松久 玲子(著) A5判 304頁 3000円(本体)
■先行研究と問題設定/ディアス時代の教育と女性たち/革命動乱期の教育運動とフェミニズム/ユカタン州フェミニズム会議と女子教育/1920年代の優生学とフェミニズム運動/ユカタンの実験と反動/母性主義と女子職業教育/社会主義と教育とジェンダー、ほか
記憶の共有をめざして (南山大学地域研究センター共同研究シリーズ 8)
第二次世界大戦終結70周年を迎えて
川島正樹(編)南山大学の4つの地域研究センターが、アジア環太平洋地域の歴史的な和解に向け、戦争にまつわる「記憶」の共有化を図ろうと取り組んできた研究の成果をまとめたもの。多様な戦争の「記憶」の現状に関する論稿を収録する。
A5判572頁5000円(本体)
■群馬県安中教会牧師としてその後半生を捧げた柏木義円の膨大な書簡来簡の一部を収録したものである。その内容は、妻かや子や米国留学中の長男隼雄など家族との間においてさえ、熊本英学校不敬事件にかかわった経験、日常生活のなかでの非戦論の展開など、義円の筆鋒は重厚な思想やそれを的確にあらわす見事な表現に充ちている。またその他の人達との往還の中にも、信仰をめぐっての真摯な議論、教育観、天皇制観など貴重な資料ともなるものが豊かに見られ、キリスト教史のみならず政治・経済・思想史・女性史・生活史・文化史など多方面で活用されうるものともなっている。
杉田 聡(著)
A5判 352頁 3400円(本体)
■本書で論じるのは、現代的な焦眉の問題群である。「疎外」「正義」「啓蒙」「環境」「ジェンダー」以外にも問われるべき問題群はもちろんあるが、カント哲学のうちで現代批判のために重要な示唆を与えるが、それでいてふだんカント研究者の間でも論ぜられることの少ないこれらのテーマを取り上げた。そこに本書の独自性もある。内容的にも、本書ではカント哲学のほとんどあらゆる面(倫理学・法哲学・美学・目的論・宗教論・歴史論・教育論・人間学等)に論及し、カント哲学の全領域に及ぶものである。
■先住民の移動とローカルな共同体・地域の変革の可能性/メキシコからの対米移民/投票権法改定とヒスパニック組織/グローバル社会に共鳴するメキシコ先住民/「開発の国際収支制約」からみたメキシコの経済開発/ホセ・バスコンセロスとメキシコ近代壁画運動/カンクン、リヴィエラ・マヤ観光圏のマヤ系先住民/「死者の日」の観光化と伝統の再構成/ピラミッドとテキーラ